市社協ふれあい特集VOL.16(地域編) ~アダプティブ・テクノロジー:鳥原信一代表に聞く「一人一人に合わせて、世界を変えていく~Change for better~」

 インターネットや電子メールが身近に利用できるようになった昨今、漢字が読めない識字障がいや視覚障がいなどのある方、日本語の勉強を始めたばかりの外国籍の方、高齢の方などが電子情報を得るときには、それぞれの人に合った支援が必要となります。
 市内には、コンピューターによるIT技術を活用して、情報支援を必要とする全ての人に対してITバリアフリー活動を行っているボランティア団体「アダプティブ・テクノロジー」があります。同団体は、本年度、大和市の“「福祉の日」の集い”において、地域福祉の向上に貢献された功績で大和市社会福祉協議会表彰を受賞されました。
 今回は、「アダプティブ・テクノロジー」の代表である鳥原信一さんにお話を伺います。

 鳥原さんは、子どもの頃から機械いじりが大好きで、このことが今の自分につながっていると言います。父親に仕事関係の機材を触らせてもらったり、壊れたテレビやラジオを分解して組立てたりしたそうで、「夢中で機械いじりを楽しむうちに、その構造にも興味を持つようになりました。」とお話しくださいました。 鳥原さんは、福島県南相馬市の出身で、東京の予備校に通うため、千葉県の親戚の家から東京まで通っていたという努力家でもあります。
 大学で言語学、国立の障がい者向け職業訓練センターでコンピューターについて学んだ後、コンピューター関連企業の研究所でこれらの知識を活かした研究をされたそうです。
 「主に、『人が話しかけた言葉をコンピューターが認識する』という音声認識や、『コンピューターがしゃべる』といった音声合成についての研究をしていました。今ではよく知られる機能になってきましたね。」と、当時を振り返られます。
 そして、さらなる研究のために大学院へ進学されたとき、「アダプティブ・テクノロジー」を結成されました

 アダプティブ・テクノロジーという団体名の意味は、簡単に言うと、「その人に合わせたIT技術で情報支援をする」という意味だそうです。「例えば、窮屈な靴しかなければ、履く人は我慢します。
でも、靴を人に合わせれば、その人の世界は変えられる。そういう支援をしていきたい。『靴=コンピューター』に置き換えて考えていただくと、わかり易いかもしれません。」と、教えてくださいました。
 同団体は、個人への無償支援のほか、神奈川県庁など企業からの依頼に有償で対応することもあり、鳥原さんを含め9人で運営しています。
 漢字に日本語や外国語のルビを自動的にふったり、写真の中の漢字にルビをふったりするなど、さまざまな方法を使って、情報支援をされています。
*本会のホームページにも同団体によるルビ振り サービスを導入しています。
 現在、鳥原さんは、慶應義塾大学SFC研究所所員で、NHK放送技術研究所と高速音声を再生するIT技術について共同研究も進めており、講演や研究のためアメリカやオーストリアなど世界各国を訪れる多忙ぶりです。
 今では、世界を舞台に活躍されている鳥原さんですが、色々と辛い思いをされてきたと言います。
 鳥原さんは、子どもの頃は弱視でしたが、今ではほとんど目が見えません。「小学生の頃、見えないことをどう見えないかなんて、伝えられないでしょう。黒板の問題が見えずに計算問題が終わらなくて…教室に残されたこともありました。」と、落ち着いて話される様子に、障がいに対する理解の必要性について考えさせられました。
 「見えないことを受け止めないで家にこもっているのは楽なこと。何かしようとすると、出来ないことがいっぱい出てくるから。でも、同じ人生だから、出来ることを精いっぱいやりたい。自分の持っている技術と経験を社会貢献に活かしたい。」と、自らの想いを語られます。
「私は、『Change for better-より良いものにするために自らを、世界を変える-』という言葉が好きです。『これでいいのだ。』ばかりでは、あなたが今、歩いている道の向こうに楽しく明るい未来はありません。たまには立ち止まることも必要ですが…。」と、輝くような笑顔で話す鳥原さん。今の目標は大学院で博士号を取ることだそうです。
 鳥原さん率いる「アダプティブ・テクノロジー」は、流行のスマートフォンやスカイプなど、障がいの有無に関わらず多くの人向けに講習会を無料で開いています。
 是非、参加されてみてはいかがでしょうか。

pdf版

http://www.yamato-shakyo.or.jp/img/vol_189.pdf

テキスト版

http://www.yamato-shakyo.or.jp/tayori/syakyo189.htm#12

大和市社会福祉協議会のご理解のもとに、一部を引用しました。

大和社協に感謝をいたします。

スカイプ・グループ通話講習会

2012年10月27日
アダプティブテクノロジー主催のスカイプ・グループ通話講習会を、さる10月27日(土)に大和市障害者自立支援センターで行いました。受講者は8名で、専門講師3名による指導の下に、skypeのダウンロード、アカウント作成、通話体験、参加者間のグループ通話の体験などを行いました。
講習会についてはおおいに役く立った、役に立ったとの評価を頂きました。
実際に使ってみることができ、またやさしく教えて頂き、とてもわかりやすかった。スカイプの便利さを学べてよかった等、感想を頂き好評でした。
講習会会場、ノートパソコンなどの機材使用に協力いただいた、大和市障害者自立支援センターに感謝いたします。

講習会風景写真

地域福祉向上に貢献で表彰

2012年10月14日(日)

本日大和市の‘「福祉の日」の集い’がありました。‘つどい’においてアダプティブテクノロジーも他の16のボランティア団体及び個人とともに、大和市福祉推進委員会、大和市社会福祉協議会より‘永年にわたりボランティアグループとして地域福祉向上に貢献’で表彰されました。

アダプティブテクノロジーはこれからもIT技術を基盤とした「すべての人にやさしい支援技術」を提供して、地域福祉の向上に貢献していきます。

視覚障害者のためのスカイプ・グループ通話講習会

2012年9月29日
アダプティブテクノロジー主催の視覚障害者のためのスカイプ・グループ通話講習会を、さる9月29日(土)に大和市障害者自立支援センターで行いました。受講者は視覚障碍者4名で、専門講師3名による指導の下に、skypeのダウンロード、アカウント作成、通話体験、参加者間のグループ通話の体験などを実施しました。参加者は秦野市や横浜市鶴見区など遠くからもお越しいただきました。講習会についてはおおいに役く立ったとの評価を頂いた方が大半で、定期的に講習会を開いて欲しいとか、仲間を作ってやってみたいとの感想も頂きました。
一般向けの講習会を10月27日(土)に開催する予定です。

講習会風景

第27回”テクノロジーと障害者”            国際会議、CSUN2012

アダプティブテクノロジーのメンバー2名(鳥原、谷口)で2月27日(月)~3月5日(月)の間にカルフォルニア州サンディエゴで開かれたCSUN2012”テクノロジーと障害者”国際会議に参加しました。同会議は今年で27回目となる歴史のある会議で、毎年日本からも多数の参加者があります。今回は一昨年に続き同会議で発表すること、展示会での関係分野の調査、現地の視覚障害者の協力を得て発表内容の評価テストを行うこと等の目的でNHKエンジニアリングサービスおよびNHK放送技術研究所の方3名と行きました。会議及び展示会の場所はManchester Grand Hyatt ホテルです。会議および展示会は2月29日~3月2日の3日間行われました。

 

Manchester Grand Hyattホテル(左側ツインビル)

基調演説(スピーカーと手話者)  

                       

 会議発表(3月1日) 12時~

会議では当グループの代表鳥原信一が論文発表を行い、

発表の後半には参加者を対象に論文内容のデモを行いました。

従来技術で作成した音声と提案技術で作成した音声を再生後、

“It makes little difference, doesn’t it?”(違いが分かりますか?)、と聴衆に質問したら、”Huge””(かなり違う、すごい)と反響の声があり、手ごたえを感じました。

発表論文”High Speed Listening Methods–Skimming and Oblique Listening”, Shinichi Torihara, Keio Research Institute at SFC.

同時間には別の部屋で、NHKの方が論文を発表していました。

発表論文 “Advanced Rapid Speed Method for DAISY Player”, Naoyuki Tazawa, NHK Engineering Service, Inc.

会議全体ではiphone やipad, Androidに注目した発表が増えていました。

                     

 発    表                                       

 発表後の質疑

 展示会

約140の企業&団体が障害者を対象とした色々な機器を展示していました。点字機やDaisy Playerを扱う Freedom Scientific ,Human Ware、HIMS のほか日本から出品しているOlympus 、シナノケンシなどの展示コーナーで、担当者の説明を受けました。また学習障害者向け、言語障害者向けなどにはパソコンのディスプレイにおきかわり、タブレットタイプのディスプレイが増えていました。

 

  展示会場

                                                                               

展示会場にて SDCBの会長と歓談

SDCBの訪問 (San Diego  Center for the Blind)

(2月28日)

2年前にも訪問したサンディエゴの郊外にある視覚障害者のためのリハビリ施設SDCBを訪問しました。

前回もお世話になったDirectorのJodyさんが暖かく迎えてくれ、施設の職員2名と施設を利用している3名の視覚障碍者と懇談しました。

5人の方に今回発表するデモの一部を聴いてもらい、大変よい評価を得て自信を強くしました。また参加者から1年前の大震災について心配したという話もありました。

  

 SDCB正面

SDCBにて音声デモ    

                

BCCSDでの評価実験(3月3日)

BCCSD(Blind Community Center of San Diego)はバルボアパークの北の少し寂しいところにあり、視覚障害者が日常的に利用するコミュニティー主体の施設です。一昨年に続き2回目の訪問です。ここでは3~4倍速の音声を聴いてもらい、評価をしてもらう実験を行いました。前回もお世話になったExecutive DirectorのLee Morton さんを含む12人の視覚障害者が参加してくれ、ほぼ順調に実験ができ、期待した成果を得ることができました。ここでも大震災について心配したことや、またいつでも来て欲しい等、暖かい気持ちをもらいました。

         

BCCSD での評価テストの様子

終わりに

今回ご協力いただいたSDCBの皆さん、BCCSDの皆さん並びに、終始ご支援、ご指導いただいたNHKKエンジニアリングサービス&NHK放送技術研究所の皆様に深く感謝申し上げます。

         

        サンディエゴ湾の夕日

第2回 iPhone/iPad操作体験会

 アダプティブテクノロジー主催の第2回iPhone/iPad 操作体験会を、さる11月19日(土)に大和市保健福祉センターで行いました。
参加者は体験者4名と見学者2名で、iPhone、iPadの基本操作やアプリケーションを説明後、実際に触ってもらい実機の感触や、タップ、フリック他の基本操作などを実感してもらい、豊富なアプリケーションから興味のあるものを紹介しました。 以下にいくつかの実施内容をを紹介します。

1. Safari

・検索機能の使い方「大和市」をキーワードにソフトキーボードの入力体験。

・Webサイトのページ内で「ピンチイン」「ピンチアウト」の操作体験。

・上下方向のフリック操作で、画面内の表示をきりかえる。

2. YouTube

 ・履歴やオススメのリストから、ファイルを選択して視聴する。

 ・キーワードを入力して、好きなビデオクリップを視聴する。

3. 金沢文庫

 ・電子書籍。音声読み上げのデモ。

 ・検索によるファイルダウンロードと読み上げ操作の体験。

4. マップ

 ・ルート検索の体験

 ・目的地を入力していただき、移動する順序(工程)を確認した。

 ・ストリートビューのデモ。自分の見たい方角が360度にわたって自由に画像で確認でき、散歩するように通りを進んで行けることを紹介。

 ・マップの表示は、地図や航空写真に切り替えられることを紹介。

5. Newsstand

 ・雑誌(DAIM)の立ち読みの体験

6. メトロタッチ (デモのみ)

7. Radiko(インターネットラジオ) (デモのみ)

8. カメラ

 ・写真撮影の体験

9. メール

 ・宛先入力の体験程度

10. iPhoneのデモ

  テンキー入力、宛先表からの選択、履歴からの選択に切り替えられることの説明と、音声コントロールによるケータイへの発信デモ。

こうして振り返ると、随分と沢山のこと紹介したんですね。

今回の参加者の皆様には、パソコンやケータイなどを通しての予備知識があったので、ここまで盛り込めたのだと思いますが、全くのIT初心者の場合は、違ったアプローチが必要だと思っているところです。

体験中にいただいた参加者の感想

「色々と面白いので、夢中になりそう」

「思っていたよりも簡単にできる。パソコンと比較して、分かりやすいし使いやすいと思う」

「パソコンで作成している書類などが同じように使えると良いが、もう少し先になるならそれまで待った方がよいのではないかと思う。電話機で同じことが出来るのであれば、iPhonに買い替えてもいいかなと思い始まました。」

「これまでは機器を見るだけでそれ以上の事はわかりませんでした。丁寧に教えて大変有益な知識を得ることができました。」

iPhone/iPad 操作体験会

アダプティブテクノロジー主催の第1回iPhone/iPad 操作体験会を、さる10月15日(土)に大和市保健福祉センターで行いました。
体験者は視覚障碍者3名で、iPhone、iPadを実際に触ってもらい実機の感触や、タップ、フリック他の基本操作などを実感してもらいました。特にiPhone、iPad はVoice Overという音声で操作指示をしたり、画面の内容を読み上げる機能があり、それを活用してiPhoneでできる電話やメールを体験してもらいました。またiPadではメールを打つ時のソフトキー操作、インターネットでの記事読みとりや、本を読むことなどを体験してもらいました。
この体験会をお手伝いしたアダプティブテクノロジーのメンバーも、これらのツールを活用しだしてまだ日が浅いため、説明には不十分な点が多々あったかと思いますが、この体験会で、参加者が見えなくてもiPhoneやiPadを使えるなぁ、使ってみたいなぁ、と感じていただけたら幸いです。
今後も体験会を続けていく予定です。

ルビ振り・音声読み上げサービス     @神奈川県庁

アダプティブテクノロジーのサービスが神奈川県庁のホームページに入りました。このサービスは、全盲用のものではなく、高齢者や弱視者・漢字の読めない人達へのサービスです。これまでIBMが提供していたらくらくウェブ散策に代わるサービスです。興味のある方は試してみてください。

音声で読み上げる・ルビを振る

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/master/p18541.html

ホームページ閲覧支援サービス

 視力が低い、ご高齢、漢字が苦手、といった人にとっても、できるだけ快適に県ホームページを閲覧しやすいものとなるよう支援する以下のサービスを提供しています。

音声読上げサービス

 神奈川県が契約したサービス提供業者(株式会社ナレッジクリエーション) のvds(Voice Delivery System)サービスを利用し、簡単な操作で、県ホームぺージを音声で読上げさせることができます。

ルビ振りサービス

 神奈川県が契約したサービス提供業者(アダプティブテクノロジー)のルビ振りサービスを利用し、簡単な操作で、県ホームページに、ひらがな、カタカナ、又はローマ字のルビを表示させることができます。

Web開発技術スタッフを募集

アダプティブテクノロジーでは、漢字が苦手な方々のために、ホームページの日本語の上に自動的にルビを振るプログラムを開発し、無料または廉価でサービスを提供しています。

http://www.adaptive-techs.com/

今まで技術開発を担当していた技術者が巣立って行きましたので、急きょWeb開発技術を持っているスタッフを募集します。

①html、CSSやxmlが分かり、ホームページの作成、改良ができる方。

②プログラム言語Javaが書ける方。

③プログラム言語Javaスクリプトが書ける方。

我々のサービスを使っている方々は世界中にいます。いっしょに世界的な貢献をしましょう!

東北地方太平洋沖地震の被災者へ    お見舞い

アダプティブテクノロジー代表の鳥原です。

東北地方太平洋沖地震による被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

また、犠牲となった方々、そのご家族に対して心よりお悔やみを捧げます。

まだまだ不安な日々は続きますが、これ以上の被害がないことを心から祈ります。

鳥原個人としてではありますが、大和市社会福祉協議会を通して、神奈川共同募金に東北関東大震災義捐金として、108,156円を寄付しました。

必要としているところに届くことを願っています。

アダプティブテクノロジー代表

鳥原 信一