アップル・ウォッチのアクセシビリティ 
–視覚障害者の観点から–(鳥原)

鳥原 信一

1..はじめに

視覚に障害があっても、iPhoneはボイスオーバーにより操作が可能である。
アクセシビリティを考慮した製品と言える。
アップル・ウォッチ(iPhoneと一緒に使う)のアクセシビリティを実際に入手して確認したので報告する。
さらに、ヘルスケア・ウォッチとしての有効性についても述べることにする。

2.従来技術とその問題点

これまでは、iPhoneに加えて、つぎのものを用いていた。
(1)盲人用時計(触覚により時刻が分かる腕時計)
(2)ブルーツース・イヤホン(片耳、本体を耳に挿入して引っかけるタイプ)

(1)の問題点
むしろ利点であるが、音声時計では、いつでも時刻を確認することができないが、盲人用腕時計は触って時刻を知るので、いつでも静かに時刻が確認できる。
一方問題点としては、触って時刻を知るので、針が動いてしまい、時刻が多少くるってしまうことである。
また、時計盤が汚れたり、髪の毛が混入したりして、故障しやすいと言える。

(2)の問題点
iPhoneをジーンズの前ポケット、あるいはカバンに入れておくと、電話の呼び出し音、メールが来た通知音が分からない、バイブレーションにしておいても分からないことがあり、イヤホンを使用していた。
イヤホンの線がじゃまであること、視覚障害者なので両耳タイプは使えない(歩行困難になる)ことから、耳にかける片耳タイプのブルーツース・イヤホンを使っていた。
マイクも付いており、電話にもすぐに応答できた。
このイヤホンを外出時には常に耳にかけておくのはかなりの負担であった。
そして実際には耳からはずれて地面に落下してしまい、探せずなくしてしまったのである。

 
3.アップル・ウォッチによる問題解決

3-1.アップル・ウォッチ

つぎのアップル・ウォッチのビデオガイドを見るとおおむねどのようなものかが分かります。

Apple Watch – ビデオガイド –
http://www.apple.com/jp/watch/

アップル・ウォッチを購入した時に、iPhoneとのペアリング、アップル・ウォッチのボイスオーバーをオンにするなどの初期設定はお店の方に行ってもらいましょう。
アップル・ウォッチのユーザーガイドの中のアクセシビリティ、ボイスオーバーのページから見て行きます。「次へ」を押すと関連ページが次々と表示されます。

アクセシビリティショートカット – Apple・Watch ユーザーガイド
http://help.apple.com/watch/?lang=ja-jp#/apda74993b58

数ある設定の中で次の3つは設定しておいた方がよいと思います。

●手首を上げる度に音声時計が動くようなものですので、オフにしておきます。
 時刻を知りたい時は文字盤をダブルタップします。
 手首を上げたときに時刻を読み上げる: iPhone で「Apple・Watch」App を開き、
 「マイウォッチ」をタップし、「一般」>「アクセシビリティ」>「Voice Over」と
 選択してから、「手首を上げて話す」をオフにします。

●電話の着信音量を0にして、バイブレーションをオンにする。
 通知の音量と振動の強さを調節できます。

●サウンドと振動

  • iPhoneの「Apple Watch」アプリ > マイウォッチ > サウンドと振動
  • Apple Watchの「設定」アプリ > サウンドと振動
  • のどちらかで設定します。

    ●わかりやすい振動
    「わかりやすい振動」をオンにすると、認識しやすいように振動が大げさになります。

     
    3―2.問題解決

    (1)の問題解決

    アップル・ウォッチは、いわば、正確かつ高級な音声時計である。
    触って時刻を知るのではないので、汚れたり、針が動いたり、故障しやすいということはない。
    しかしながら、音声時計であるために、人に知れずに時刻を知ることができない。
    これについては次節でバイブレーションによる時計を提案する。

    (2)の問題解決

    ブルーツース型イヤホンは紛失しやすいと言える。
    アップル・ウォッチは、バイブレーション(振動)により、様々な通知を行う。
    電話がかかってくるとアップル・ウォッチが振動する。
    そのままアップル・ウォッチで応答することも可能であるが、公衆の面前では
    電話の内容が聞こえてしまうので、あとからiPhoneで着信履歴、または留守番電話を
    確認して電話をかけることになる。

     
    4.バイブレーションによる時刻の通知

    アップル・ウォッチには多くのバイブレーション(振動)パターンがあるようである。
    バイブレーションのパターンで自動的に定時を通知する。
    あるジェスチャーをすると(文字盤をトリプルタップなど)バイブレーションのパターンで
    時刻を知ることができる、このような時計アプリが望まれる。

    参考までに、日本点字図書館で販売している「触読式振動時計メテオ」を紹介する。

    ● 3つのボタンを押すことにより時間を振動で知らせる触読式ポケットウォッチです。
    ● スイスでデザインされ、机に置いておくとオブジェのような目を引く不思議な形です。
    ● 色は黒で、ゆで卵を縦半分に切ったような半球型の内側に3つのボタンがあり、
     掌に収まる大きさです。
    ● ボタンは、厚みの薄い側から時間、真ん中の10分、1分の順に並んでいます。
     1の単位は「ブッ」と短くふるえ、5の単位は「ブゥー」と長くふるえます。
     例えば1時27分なら、時間のボタンを押すと「ブッ」と1回、10分のボタンを押すと
     「ブッ、ブッ」と2回、1分のボタンを押すと「ブゥー、ブッ、ブッ」とふるえます。
    ● 今までの触読時計で正確な時間が分かりづらかった方や静かな所で音声時計を
     使いづらかった方にお勧めの振動時計です。
     ポケットに入れたまま時間確認ができます。
    ● 時間は、12時間通知のみです。

    触読式振動時計メテオ
    http://yougu.nittento.or.jp/product1324_126.html

     
    5.ヘルスケア・ウォッチとしてのアップル・ウォッチ

    アップル・ウォッチの「アクティビティ」を設定して、ヘルスケア・ウォッチとして使います。

    Apple Watch でアクティビティ App を使う – Apple サポート
    https://support.apple.com/ja-jp/HT204517

    毎日のムーブゴールは、1日に所定のアクティブカロリーを消費することで達成できます。
    アクティブカロリーは、基礎代謝とは異なり、立ち上がったり体を動かしたりしたときに消費されるカロリーです。
    毎日のエクササイズゴールは、1日あたり 30分程度の運動をすれば達成です。
    早歩き程度、またはそれ以上の体の動きを 1分続ければ、エクササイズとムーブとしてカウントされ、それぞれのゴールに近づきます。早歩きより軽い動きは、毎日のムーブゴールにだけ加算されます。
    毎日のスタンドゴールは、1日2 1時間あたり 1分以上立ち上がって少し体を動かせば達成です。
    1時間に1分以上立って動かないと”Stand”の通知(バイブレーション)があります。これはとても役に立ちます。

     
    6.おわりに

    アップル・ウォッチはiPhoneとともに使うものであるが、アップル・ウォッチのボイスオーバーも十分使えるレベルである。
    バイブレーションによる通知はきわめて有効である。
    加えて、視覚障害者のために触る時計をアプリで実現してもらいたいと思う。
    ヘルスケア・ウォッチとしても、バイブレーションによる通知と、その後のボイスオーバーによるActivityの確認はとてもよい。
    特に、座ってばかりいる筆者にとって、”Stand!”という通知と、メッセージはきわめてよい機能である。

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