2010年CSUNテクノロジーと障害者会議

アダプティブテクノロジーのメンバー4名で3月23日(火)~29日(月)の間にカルフォルニア州サンディエゴで開かれたCSUNテクノロジーと障害者会議に参加しました。同会議は今年で25回目となる歴史のある会議で、毎年日本からも多数の参加者があります。今回は同会議で発表すること、展示会での関係分野の調査、現地の視覚障害者の協力を得て発表内容の評価テストを行うこと等の目的で行きました。会議及び展示会の場所はManchester Grand Hyatt ホテルです。

会議発表(3月26日)

会議では共同研究者のNHKの技術者と当グループの代表が論文発表を行い、発表の後半には参加者を対象に論文内容の評価テストのデモを行いました。すべてほぼ順調に終わり関係者一同ほっとしました。会議で参加者が少なかったのは少し残念でしたが、参加者は関心の高い人たちのようで、参考になる質問意見もありました。その中で今後コンタクトを取りたいアメリカ議会図書館の方(視覚障害)もいました。

発表会場(リハーサル中)

発表論文 ‘Adaptive approach of Rate controlling to Rapid DAISY BOOK Listening’ Naoki Tazawa (NHK Engineering Services, Inc.)   Shinichi Torihara (Keio Research Institute at SFC)

                                                展示会

この分野の色々な商品が実際に販売されていることにまず感心させられました。全体的に多いのはlow Vision対応の拡大装置、それに音声を付加するもの、また学習を補助するディスプレイや器具が多く、デザインがカラフルで工夫されていること、コンピュータ技術を広く活用していることなどが印象に残りました。

展示場には盲導犬を連れた視覚障害者や指で会話している人、タッチパネルを装備した車椅子で動いている人などが多数見学し、また障害者の方々自身が説明員として参加している場面に接することができ強く印象に残りました。

展示会場

施設訪問(3月24日)

SDCBの見学 (San Diego  Center for the Blind)

サンディエゴの郊外にある視覚障害者のためのリハビリ施設を訪問し,Director of Clientの Jody Shepherd さんの案内で施設を見学しました。想像していた以上に立派な施設で、設備及び各種の専門インストラクターやカウンセラーがおり充実していました。利用者を送り迎えする大きな車も10台ぐらいあり充実していました。コンピュータについては独立した部屋にPCを置いて、お互いの通信のトレーニングができるようになっており、またlow vision向けの拡大装置や、キーボードの形状や色を工夫したものが使用できるようになっていました。実際に視覚障害者もインストラクターとして活動していることは素晴らしいと思いました。

SDCB トレーニングルーム

BCCSDでの評価実験(3月27日)

BCCSD(Blind Community Center of San Diego)はバルボアパークの北の少し寂しいところにあり、視覚障害者が日常的に利用するコミュニティー主体の施設のようでした。日本では既に評価テストを3回やっており、比較的スムーズに評価テストができ、また良い結果も得られていましたが、海外でやるのは初めてで、すくなからず不安や戸惑いもありました。しかし自己紹介や説明の間、今回お世話になったExecutive DirectorのLee Morton さんを含む11人の視覚障害者の方から元気な応答もあってなごやかになり、ほぼ順調にテストができ期待した成果を得ることができました。

BCCSDの全体風景と利用者送迎用車
BCCSD での評価テスト風景
調査に協力してくれた盲導犬

サンディエゴについて
サンディエゴは年間を通じて雨が少なく、過ごしやすい気温のようで、滞在中も毎日天候が良く気温も快適でし た。雨が少ない割には治水の工夫があり、街路や公園は緑豊かです。人口はロスにつぐカルフォルニア州第2の市で、治安も良く、港 町、海軍基地の町として栄えているようです。

レストラン「ハーバーハウス」から見た夕日

ブルーボーネット (San Diego State Historic Park にて)

人物風土記

タウンニュース 大和版 2009年10月2日より

http://www.townnews.co.jp/020area_page/03_fri/01_yama/2009_4/10_02/yama_jin.html

ひと工夫で優しい社会に

障がい者支援IT技術
「アダプティブテクノロジー」代表

鳥原 信一さん

西鶴間在住 53歳

○…「情報弱者をなくして、全ての人が暮らしやすい社会に」と夢を語る。大和市を拠点に6年前に、IT技術を使って障がい者など情報弱者を支援する会を立 ち上げた。現在、10人のボランティアスタッフと共に、HPやメールなどの漢字のルビふりや翻訳、音声読み上げサービスを開発し、無償又は、低料金で提供 する。使用言語は40ヶ国、全世界で約5千ユーザーの日常をサポートする。「まだまだ発展途中の技術、挑戦していきたい」と語った。

○…発足のきっかけは、漢字の読み書きを困難とする学習障がいの子どもを持つ母親からの相談だった。「街の中もふり仮名がふってあれば」との一言に、携帯 メールで取った画像に自動的にルビをふるプログラムを作ったところ、予想以上に喜ばれた。「ちょっとした工夫。でもその工夫が今までなかった。必要とする 人に使って欲しい」と一般へ公開することを決めた。

○…自身も生まれつき全盲の障がいを持つ。「好奇心は人一倍。私の目は手、なんでも 触って確かめた」と少年時代の遊びと言えば、無線機やラジオを分解して、組み立てること。「右を向けといわれれば左を向く天邪鬼。無理と言われると余計や りたくなる」。盲学校卒業後は、上京して大学へ進学。言語を数学的に解析する研究の過程で、コンピューターに出会い、その魅力にとりつかれた。企業に就職 後も研究一筋。40歳で大学院に入り直し博士課程を卒業した。現在は、NHKと共同研究で視覚障がい者のための高速音声再生技術の開発に明け暮れる。

○…相棒は盲導犬のホープ。「のんびりやの性格が、気が短い私に合っている」と頭をなでる。議論がついヒートアップして頭に血が上ってしまっている時も 「ワオン(熱くなるなよ)」という一吠えに冷静になるのだという。研究が行き詰ったら散歩。心地よい秋風が新しいアイデアを運ぶ。「夢は夢でなく、実現す るもの」と未来を見つめた。