摩訶不思議探偵局〜遺産相続権殺人事件〜
容疑者リスト
大金幣(おおがねへい)…【金収の三男】
大金時子(おおがねときこ)…【勲の妻】
大金黄金(おおがねこがね)…【勲の長女】
大金鉱太郎(おおがねこうたろう)…【豪の長男】
大金円華(おおがねまどか)…【幣の妻】
大金銀之助(おおがねぎんのすけ)…【幣の長男】
はしがき;これで、遺産相続権殺人事件は5編目です。今までと比べると凄い量です。
摩訶不思議探偵局〜遺産相続権殺人事件〜殺人編
豪と富子が殺されたが、その殺害現場には何もないと踏んだ真解と真実は、勲の部屋にやって来た。ついでに、何故か小鳥遊もついて来た。
真実「そういえばわたし、このパソコンまだよく見てなかったかも…」
そう言って、真実はパソコンに近寄った。
真実「さすがにもう、電源は切られてるのね…」
真解「いつまでもつけてても、しょうがないもんな」
真解はそういいながら、部屋中を見回している。
真解「あれ? そういえば小鳥遊さん。勲さんは即死…ですよね?」
小鳥遊「いや…1分ぐらいは生きていたみたいだ」
真解「え? じゃあ、なんでドアを開けてないんですか?」
小鳥遊「殴られたショックで、気絶していて、そのまま亡くなったわけだ」
真解「ああ、なるほど…。 …ところで、兜警部に豪さんと富子さんの司法解剖の結果、知らせなくていいんですか?」
小鳥遊「…ああ、忘れてた」
真解〔おい…〕
小鳥遊は部屋を出て行った。
真実「2人っきりだね。お兄ちゃん。もしかして、2人っきりになりたくて小鳥遊さんを追い出したの?」
真解「ちげぇ。なんでそうなる」
真実「照れない照れない」
真解「照れてない」
真解が起こり口調で言った(いや、怒っているのか?)。
真実「そういえば、事件現場で2人っきりになるなんて久しぶりかもね…。いつも、メイちゃんと謎事君が……あ、もしかしてそれで二手に?」
真解「ちげぇっての」
真解はもう少しで怒鳴るところを抑えた。どうも、真実相手でこういう話題をすると、何故かカッとなりやすい。
真実「…ま、いいや。で、パソコンパソコン…」
真実がパソコンに触れようとしたとき、真解が止めた。
真解「待て」
真実「! あ、そうか。現場のものむやみに触ると危険だもんね」
真解「まぁ、それもあるが…それだけじゃない。勲さん、潔癖症ってわけじゃないんだが、どうもそのパソコンだけは誰にも触らせなかったらしいから……!」
真実「そうなの…。って…どうしたの? お兄ちゃん…」
真解「………真実、リビングに行くぞ…」
真実「え?」
真解は返事をせずに部屋を出て行った。
真実「あ、待ってよ」
真実が慌ててついて行った。
リビング
謎「どうです? わかります?」
謎事「う〜ん……。もしかしてさ、この暗号。アルファベットに置きかえられてるんじゃないか?」
謎「と言いますと?」
謎事「例えば…最初の言葉は『に』だろ? 『に』ってのは…あ、い、う…」
謎事は指折り数え始めた。
謎事「な、に…22番目の文字だろ? だから、アルファベットで22番目の文字…A、B、C…」
謎「V」
謎事が数え始めると同時に、メイが言った。
謎事「はやっ」
謎「Z、Y、X…と数えたので」
謎事〔オレ、そんなことできないぞ…〕
謎事「…まぁ、ともかく、Vだろ? で、次が『わ』…」
謎「『わ』は44番目の文字です。が、アルファベットは26文字しかありません。無理です。日本語は清濁音(゛や ゜)を除いて48文字ありますから」
謎事「じゃ…じゃあ…ドイツ語」
謎「声調符号合わせて29文字」
謎事「ハングル」
謎「24文字」
謎事「タイ語」
謎「成長符号合わせて80文字」
謎事「ギリシャ語」
謎「25文字」
謎事「ロシア語」
謎「35文字」
謎事「中国語」
謎「知りませんよ」
謎事「だ、だよな…」
謎事は苦笑いした。
謎事「う〜ん…そうなると、なにか学問に関係するんだろうか…?」
謎「ポピュラーな学問なら、詳しく知ってると自負できるんですが…さすがに軍学や民族学なんかはよく知りませんし、経済学や哲学なんかは難しくてとても…」
謎事「でも、真解の推理と掛け合わせると…その、『ポプラー』な学問で解けるんじゃないのか?」
謎事はうまく『ポピュラー』と言えないらしい。
謎「二羽のカニわね イカ氏の舌に飼うね 真似かつ照る(にわかのかにわね いかしのしたにかうね まねかつてかる)…」
謎事「大金金収(おおがねかねかず)がヒントだって言う推理が間違ってるのかなぁ?」
謎「その名前から連想される学問と言うと、経済学辺りですけど…わたし経済学よく知らないし…」
謎事「単純に考えてみよう」
謎「単純に…?」
謎事「ああ。つまりだ……そうだな……『照る』ってのは、『金』…つまり、『遺産』を表してるんだ」
謎「え?」
謎事「ほら、なんとなくそんな感じするだろ?」
謎「まぁ…確かに…」
謎事「で、つまり…わかった」
謎「え?」
謎事「この屋敷か庭のどこかに、イカの舌の上にカニが乗ってるような絵、又は銅像があるんだ。その近くに遺産が眠ってるんだよ」
謎「それだと、『二羽』や『真似』が反映されてないような気がするのですが…?」
謎事「あ、じゃあ、『二羽』ってのは『庭』のことだ! つまり、庭のどこかにそういう『イカの舌の上にカニが乗っているような状況』を真似た絵か銅像があるんだよ」
謎「シャレ…?」
黄金〔本当にこの子達で、事件解決できるのかしら…?〕
黄金が不安になったそのとき、リビングのドアが開いた。
謎事「あ、真解。聞いてくれ、オレの推理を」
真解「あとでだ。その前に…ってあれ? 人数が少ないような…?」
真解はリビングを見渡し、
真解「鉱太郎さんと時子さんはどちらへ?」
と聞いた。
兜「それが…止めたんだが…」
真解「?」
幣「『疲れたからもう寝る』って言って部屋に戻った」
真解「え…? なんで止めなかったんですか!?」
真解は兜を睨みつけて叫んだ。
兜「いやだから、止めたんだが…」
真解「止めてくださいよ! 最後まで!」
銀之助「で、でもよ…みんな精神的に疲れてるんだからさ…。それに、他の人がこうしてここに集まっている限り、大丈夫じゃ…」
真実「そ、そうよお兄ちゃん…」
真解のいつも以上の険悪になっているからか、みんなオドオドしながら真解を抑えた。
真解「………」
真解の顔には、「本当に大丈夫だろうか?」と言った不安があらわになっていた。
そして、その不安は的中した。
真解の背後から、苦しげなうめき声が聞こえた。
真解「!?」
真解と真実が振り返ると、時子が苦しげにはいつくばっていた。
真解「時子さん!?」
真解が慌てて抱きかかえると、時子が苦しげに「首…」と呟いた。
真解「首!?」
謎事が首を見てみると、首の後ろに針が刺さっていた。
謎事「これは…」
小鳥遊「針…? 毒針か?」
真解「どうしたんです!? なにがあったんです!?」
時子「枕……」
それだけ言うと、時子は真解の腕の中で崩れた。
真解「時子さん!?」
小鳥遊「…ムダ…だ…。死んだ……。おそらく……呼吸困難…だな…」
全員が硬直していた。その表情はこわばっていた。目が見開かれ、恐怖におののいていた。
そして、全員が同時に思い出した。部屋に戻ったままの、鉱太郎を…。
真解「小鳥遊さん! 時子さんをお願いします!」
小鳥遊「わ、わかった」
真解「真実、謎事、メイ! 行くぞ!」
真実「ラジャー!」
4人が部屋を飛び出すと、同時に後の4人と、兜、猫山が飛び出した。
真解「幣さん! 鉱太郎さんの部屋は!?」
幣「こっちだ!」
全員が幣の後に続いた。
鉱太郎の部屋前
真解「鉱太郎さん!」
真解がドアを思いっきり開けた。
部屋には電気がついていなかった。真実が電気をつける。
銀之助「鉱太郎…?」
鉱太郎は、部屋のベッドに頭まで布団をかぶって寝ていた。
黄金「寝てる…だけ?」
真解が恐る恐る近づいて、布団をはねのけた。
全「!?」
寝ているだけならそれで文句はなかった。しかし、寝ているだけではなかった。その顔は、不気味に青白く、とても生きている人間のものとは思えなかった。そう…。
兜「…死んでる……」
黄金「そんな……」
円華「なんで…そんな…?」
銀之助「で、でもなんでだよ!? 俺たち全員、リビングに集まってたじゃないか! どうやって別の部屋にいる人間を殺したってんだ!?」
真解「さっきの時子さんの言葉から推理すると…おそらく、枕の中に毒針が仕掛けられてあったのでしょう…」
小鳥遊がリビングからやってきた。時子の遺体は…おそらく、ソファーの上にでも寝かせておいたのだろう。
小鳥遊「どうし…!」
「ましたか?」と最後まで言えなかった。
小鳥遊「これは……さっきと同じ、毒殺…ですね」
兜「……全員、またリビングに戻ってもらいましょう」
兜を含めて、5人がリビングに戻って行った。
真解「じゃあ…ボクらは、調査をしようか」
真実「…そうね」
真解「小鳥遊さん、死因…わかりますか?」
小鳥遊「毒死であることは確かだけど…なんの毒かまではわからないな…。でも、時子さんが呼吸困難だったみたいだから…ニコチンかな? あれなら個人でも簡単に手に入るし…」
真解「ニコチンって…タバコの?」
小鳥遊「そうだ」
謎事「タバコで人って殺せるのか…」
小鳥遊「ああ」
すぐに部屋の調査も始まった。
今度はどこにもメッセージらしいメッセージは残されていなかった。
謎事「でも…鉱太郎さんはどうやって殺されてるんだ…?」
猫山がそっと鉱太郎の遺体を抱えあげた。
猫山「首に針が刺さってる…。たぶん、さっき真解君が言ったように、枕にこの針が仕掛けられていて…」
謎「刺した…と?」
猫山「たぶんね」
謎事「ん…? でも待てよ、犯人は一体いつこの針を仕掛けたんだ?」
真解「と言うと?」
謎事「だってよ、オレらが来る前から毒を仕掛けて置いたら、勲さんが殺される前に殺されなきゃおかしいだろ? あの時、みんなもう寝ようとしてた時間だったんだから…」
真実「でも…その後で仕掛ければすむ話じゃないの? 勲さんが殺されてから警察が来るまで、結構時間あったし、その間みんな動揺してあっちゃこっちゃ行ったり来たりしてたから…」
真解「確かにな…。あれはボクらの配慮ミスだった」
謎「それか又は…勲さんの死体が発見されたのが、時子さん、鉱太郎さんの寝ようとする前だったか…ですね」
真解「………」
真解は考え込んで…時子の部屋を調べていないことに気付いた。
真解「そういえば、時子さんの部屋を調べてないな…」
猫山「あっちにも、すでに警官が行っているはずだが…。まぁ、行ってもいいが」
真解〔この部屋も、いつの間にかに警官が3、4人いるけどな…〕
真解「よしじゃあ、謎事、メイ。2人は時子さんの部屋を調べてこい」
謎事「わかった」
謎「わかりました」
しかし、大した物は見つからなかった。
調べ終わった頃には、すでに空に太陽が輝いていた。一晩中起きていたことになる。
調べた結果をまとめると、
死因は2人とも毒による呼吸困難。枕に穴が開いていたことから、枕の中に毒針が仕掛けられていたと考えるのが妥当だろう。
検死の結果、毒はニコチンだとわかった。鉱太郎はほぼ即死だったが、時子の方は刺さり方がヤワだったため、リビングに来ることぐらいは出来たのだろう。
枕には指紋がつきにくいし、ついていたところで不思議はない。針には無論、指紋はついていなかった。
謎事「手がかりなしかよ…」
謎事がそういうと、真解がはっと思い出した。
真解「そうだ……。手がかりが、たった一つだけあったんだった…」
謎事「なんだって!?」
真解「行くぞ。リビングだ」
真解はリビングへ向かった。
リビング
真解達がリビングに入って見ると、幣、円華、黄金、銀之助の4人が猛烈に言い合いをしていた。
幣「勲兄さんや豪兄さん…それに富子さんや時子さん、鉱太郎君…なんでこんなに殺されなきゃならないんだ!? いったい犯人は誰なんだ?」
黄金「わたしじゃないわよ! 自分の親を殺したりなんかするわけないでしょう!」
幣「わたしだって、兄弟を殺すわけがない」
銀之助「俺だって、叔父や従兄弟を殺すもんか!」
円華「わたしだってそうよ! わたしは時子さんと仲がよかったこと、みんな知ってるでしょう?」
黄金「じゃあ…いったい誰がやったって言うのよ? 誰にも動機がないじゃないの!」
銀之助「だから、外部犯なんだよ!」
幣「だけど、外から犯人が入ってこれるか? それに、包丁だって警察は一応指紋を取ったんだろ?」
兜「取りましたよ。この家にいる人物の指紋しか出てきませんでした」
円華「誰よ!? この4人の中の誰かなのよ!?」
銀之助「だけど、うちに石で人を殴り殺せたり、包丁で人を刺し殺せたり、毒で人を刺し殺したり出来る人がいるもんか!」
黄金「そうよ! やっぱり、外部犯よ!」
兜「しかし…どう考えても、内部犯ですよ…?」
円華「そうよ、包丁から指紋は出てこなかったんでしょ!?」
幣「そんなもの、手袋をすればすむ話だ。うちの家族に、そんな人がいるとは思えない!」
円華「でも、証拠はそう語っているんでしょ!? 警部さん!」
兜「え? ええ…まぁ…」
幣「証拠がなんだって言うんだ!? 反証できる物的証拠をいくつか挙げれば簡単に覆せるんだ! うちの家族には殺人なんてする奴はいない!」
黄金「そうよ! 外部犯だって言う証拠なら…塀を調べればきっと見つかるわ! 警部さん!」
兜「もちろん、それも既に行われてますよ。 …言うまでもなく、まだ見つかってませんが」
あ〜だこ〜だ言い合いしている横を通り過ぎ、真解は「手がかり」を目指した。
真解「これが…オレの推理が正しければ、これが立派な証拠になるはずなんだ」
謎事「こ…これが…か?」
真解「ああ。そうだ。これが、あの非道な犯人の正体を示しているはずなんだ…」
手がかりを掴んでいる真解の手に、力が入った。横では、まだ4人が言い合いをしていた。
Countinue
〜舞台裏〜
ほんの2時間足らずで「殺人編」をかき終えたキグロです。
今回のゲストは順番で行くと江戸川乱歩さんですが、特別に実相真解君です。
真解「え? ボク?」
だって、江戸川さん、今回登場してないし…。やっぱ、登場してるときじゃないとね。
真解「そういえば、MASKの時もそうだったな…」
うん。
江戸川「わたしMASK以来出てないんだけど…?」
あ、江戸川さん…。いやぁ、出す機会が無くって。
真解〔何故…だから何故出てくるんだ!?〕
さて、いよいよ次回から真相編です。
真解「次回…『から』?」
そう。真相編も2回に渡る予定です。
真解「暗号解読と、犯人か?」
お、さすが名探偵。察しがいいね。ついでに言うと、動機も長くなりそうだし。
真解「確かにな…親戚を殺すような動機が、そんな短く終わるものとは思えない…」
ま、そこらへんは読んでのお楽しみだ。
と言うわけで、やっと、今回みなさんの推理を募集します。
募集内容は、
1;犯人
2;暗号の解読方法
3;遺産の隠し場所
4;真解の見つけた「手がかり」
の4つです。
真解「手がかりもか?」
うん。この手がかりは、推理しないとわかんないよ。
推理の応募方法はメールのみ。掲示板に書いたりレスしないでください。
メールアドレスは[kiguro2@yahoo.co.jp]です。
……って真解! お前も言えよ。
真解「………推理、待ってます」
まぁ、いいだろう。
ではまた次回。
おまけの当初の設定秘話;当初、「実相真解」の名前の候補として「実相真直(みあいまさなお)」と言うのがあったらしい。
作;黄黒真直
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