摩訶不思議探偵局〜久が原高校殺人事件〜
主な登場人物( )内は読み、【 】内は役
実相 真解(みあい まさと)…【主人公・探偵】
実相 真実(みあい まさみ)…【探偵】
相上 謎事(あいうえ めいじ)…【探偵】
事河 謎(ことがわ めい)…【探偵】
兜 剣(かぶと つるぎ)…【警部】
猫山 検事(ねこやま けんじ)…【警部補】
小鳥遊 市医(たかなし いちい)…【鑑識】
相上 育覧(あいうえ いくみ/芸名もめん)…【アイドル】
皆藤 哲也(みなふじ てつや)…【脚本家】
立花 真(たちばな まこと)…【監督】
戸津辺 百合太(とつべ ゆりた)…【子ども俳優】
清泉 悦男(きよいずみ えつお)…【演出家】
飯島 れい子(いいじま れいこ)…【育覧のマネージャー】
はしがき;今回、澪たちも登場しますが…やたら見づらくなるので、省きます。

摩訶不思議探偵局〜久が原高校殺人事件〜プロローグ

「希望」の頭文字だな

 ここは、市立久が原高校。ここで、怪奇な事件が起こった。
 現場は完璧な密室! アリの子一匹出る隙はない。
 しかし! 男の死体は、そこにあった。男3人が、やっとこさ開けられたドアの、その向こうに…。
 誰もが、不可能犯罪を垣間見た。誰もが、迷宮入りを予見した。
 だが…そこに、久が原高校1年の美少女と、その幼馴染でもある少年が登場し、事件は思わぬ展開を迎える…。

龍川「今日は皆さんに、重大なお知らせがあります」
 教卓に両手をついて身を乗り出し、遊学学園中学校3年担当の龍川(たつかわ)は言った。それでも、教室は少しざわめいている。あまりみな、マジメに話を聞こうとしていないらしい。
龍川「いいのかなぁ〜? 聞かないと損するの、みんななんだけどぉ?」
 意地悪っぽく龍川が聞く。…心なしか、少しざわめきが収まった。
龍川「実は…来週から数ヶ月間、うちの学校でドラマの撮影をする事になりました」
「えっ!?」
 一瞬にして、クラスはまた色めきたった。ドラマの撮影! こんな事は、滅多に無い!
龍川「ただ、撮影はほとんど放課後に行われるから、授業の邪魔になる事はありません。また、部活動の方を優先してくれると言うことなので、安心していいです。ホラそこ、聞いてる!?」
 龍川は白い棒で後ろの方を指して、続ける。
龍川「ここが一番重要なところよ! いい、絶対に撮影の邪魔しちゃダメよ!? 後ろの方から眺めるだけ! いいわね!?」
 誰一人返事をしない。
龍川「わかった!!?」
 大声を張り上げ、やっとチラホラ返事が聞こえた。

一週間後
真実「今日から撮影が始まるのよね!?」
 クラス中…いや、学校中、今日はこの話題で持ちきりだ。
澪菜「楽しみねぇ…! スカウトされちゃったり? キャッ☆」
真直「いや、たぶんそれは無い」
澪菜「なんでよ。このわたしの可愛さを買われて…」
真直「いや、だから澪菜、そんな可愛くなぁっ!?」
 突然、那由他が腹を抱えて屈み込んだ。見てみると、澪菜のコブシが那由他の腹に食い込んでいる。…澪菜のコブシが那由他の腹に当たったのか、那由他の腹が澪菜のコブシに当たったのか、真実は永遠にナゾだ。
澪「でも、なんのドラマの撮影なんだ?」
真澄「さぁ〜? 校長に聞いても教えてくんなかった」
真解〔聞いたのか…〕
真実「お楽しみにってことなわけねぇ」
謎事「・・・・・・・・」
 謎事が、心なしかいつもより無口だ。真実がふとそれに気付き、聞いた。
真実「ねぇ謎事くん。どうしたの? 今日は」
謎事「えっ? い、いや、別に…」
真実「まさかっ!? メイちゃんにフラれ…」
謎事「だあぁっ!? どうしてそういう話になるっ!? だいたい、メイちゃんが聞いて…っ!!」
 謎事は慌てて口を塞いだ。そうだ、メイが聞いてるんだから、これ以上言うともっと凄い事になる。
真解〔だが、何故謎事はばれている事に気付かないんだろうか…?〕
謎事「だいたい、なんで真実がその事知ってるんだ…?」
 謎事が声を細めて聞く。
真実「え〜? だって…ねぇ?」
 それに、意味ありげに真実は答えた。嫌な性格だ…。
龍川「ホラ! いつまで話してるの!? 早く席に着きなさい!」
「もうチャイム鳴ってるのよ?」そう言いながら、龍川が教室に入ってきた。真解たちクラス一同は、慌てて自分の席に戻る。…結構、小学生みたいな人たちだ。
龍川「えっと、先週言ったように、今日からドラマの撮影が始まります。みんな、絶対邪魔しちゃダメよ!?」
「ハイ」とチラホラ返事が聞こえる。まぁ、中3なんてこんなもんだ、と龍川は諦める。
 その他、2、3の話をして、朝の会(とか、朝の学活だとか、ホームルームとか、地域・学校によって呼び名は様々だが)が終わった。

 6時間目が終わって…遊学学園では、終わりの会だの、ホームルームだの、先生によって言い方がまちまちな物がある。龍川はそこで最後にいくつかドラマ撮影時の諸注意を、特に部活動に入っている人に言った。そして、最後に付け加えた。
龍川「えっと…実相くんと、相上くん。2人とも、これが終わったらすぐ職員室前に来てください。お客さんが来てるから」
真解「あ…はい」
謎事「わかりました」
 そう言って、1日が終わった。
「さようなら」の号令がかかり、真解はとっととカバンを背負って教室を出た。
真実「待ってよお兄ちゃん! わたしも一緒に行く!」
真解「なんでだよ…。呼ばれたのはボクと謎事だぞ?」
真実「わたしとお兄ちゃんは運命共同体なの!」
真解「何か怒られる内容だったらどうするつもりだよ…」
真実「運命共同体だから良いの! それに、お客さんなんだから、怒られるってことはありえないじゃん!」
真解〔そうかねぇ…?〕
謎「でも、誰なのでしょうか? お客さんって…」
 ちゃっかり(?)、メイも付いてきながら、聞いて来た。
謎事「………」
真解「………」
謎「…? どうしたんですか? 2人とも…」
謎事「う〜ん…誰だろな?」
真解〔いや…謎事はわかってるはずじゃないか…?〕
 そう、真解にも根拠も確信も何も無いが、なんとなく誰が待っているかわかった。真解は、いままでほとんどの予感を外した事が無い。いい予感も、悪い予感も、だ。そして今は、なんとなくいい予感がしている。もしかしたら…。
 職員室前には、黒い人だかりが出来ていた。何やらざわめいている。そして、ざわめきに混じって、聞き覚えのある少女の声が聞こえてきた。
真実「あれ…? あの声…。ま、まさか、謎事くん、黙ってたの!?」
謎事「い、いや…その…黙ってろって、言われてて…」
謎「ああ、それで今日は無口だったんですね」
謎事「そ、そう言うこと…」
 しかし、今は真解が無口だ。人だかりの中に、少女の姿を捜している。そして…ふと、目があった。
「真解お兄ちゃん!」
 そう声がして、人だかりの中から現在人気上昇中の可愛らしい三つ編み少女…相上 育覧、芸名もめんが、現れた。
育覧「お久しぶりです!」
真解「ああ、久しぶりだな」
 育覧は、満面の笑顔で話しかけた。真解も、あまり見せないような笑顔を見せている。…と、真解は強烈な視線を感じて、顔を上げた。先ほどの人だかりから、これでもかと言うほどの視線が飛んでくる。どうやら…彼らは、育覧のファンらしい。
真解「…なぁ、ちょっと…別な所、行こうか」
育覧「? はい、いいですよ」
 それだけ聞くと、真解は逃げるようにその場を立ち去った。

中学3年教室
 ここは真解たち中3の教室。どこの部活も使っていないので、放課後になると閑散とする。5人はここに逃げ込んだ。
真解「よし。誰もいないと…」
謎事「なんでわざわざ…」
真解「考えてみろ、謎事。育覧のファンの目の前で、ヘタに親しげに話したら、殺されかねない」
真実「お兄ちゃんのファンもいるけど☆」
 真実は真解に微笑みかけた。真解は無視した。
真解「で…ドラマの撮影って言ってたよな?」
育覧「ええ、そうです。題名は『久が原高校探偵団』」
真解〔高校…?〕
謎「あなたが…高校生を演じるんですか?」
育覧「ええ、そうですよ」
真解〔どうやって10歳の子が高校生を演じるんだ!?〕
 そこが、アイドルの腕の見せどころか。
真解「ちなみに、ストーリーは?」
育覧「題名通り、久が原(くがはら)高校と言うところで起こる様々な事件を、わたしが演じる土佐舞 亜美(とさまい あみ)と、もう1人別な人が演じる伊井島 明日偵(いいしま あすて)が解決する、と言う推理物です」
謎事「? 土佐舞、亜美…?」
育覧「ど、どうかした? 謎事兄ちゃん…」
謎事「その名前…育覧が考えたのか…?」
育覧「う、うん。スタッフの皆さんに無理言って…」
謎事「へ、へぇ…」
 謎事は若干、虚空を見上げた。
真実「どうしたの? 謎事くん…なんか今日、おかしすぎない?」
謎事「い、いや…別に…」
「オレの事は気にせずに、話を続けなよ」と、謎事が促した。
真解「…そういう事か」
 真解が呟いた。
真実「え、ど、どういう事!?」
真解「後で教えてやる。で、その撮影をこの学校でやるって事か」
育覧「はい、そういうことです。 …あ、そうだ。台本読んでみます?」
 育覧はそういって、一冊の冊子を取り出した。
真解〔どこに持っていたんだ…?〕
 と思ったが、とりあえず見てみる事にした。真解は台本をパラパラめくり、事件のところだけ読んでみた。

――8 倉庫の前
長沢「おいなんだ? この倉庫の前においてあるガラクタは…。(伊井島に聞く)」
伊井島「知らないッスよ、先生。それ、倉庫の中にあったやつじゃないッスか?」
長沢「倉庫の中?(倉庫の引き戸を開けようとする) …おい、倉庫の扉が開かないぞ。(引き戸を何度も引く)」
伊井島「鍵が掛かってるんじゃないッスか?」
長沢「いや…鍵は掛けないはずだし、これは鍵の感触じゃない…。」
伊井島「反対側は?」
長沢「こっちは確か…(と、反対側の扉の取っ手に手を掛け、引く)…やっぱりそうだ。だいぶ前に扉がずれて、開かないんだよ。ちょっと気になるから、誰か呼んでこい。」
伊井島「わ、わかりました。(伊井島、走り出す)」――

 呼ぶシーンは読んでも仕方ないので、真解はそこを飛ばした。

――10 倉庫の前
玉川(教師)「どうしました?」
長沢「いや、大したことじゃないんですが…倉庫の前の物を中に入れようと思ったのですが、開かないんです。」
成田(教師)「え?(不審に思い、扉を開けようとする)本当だ…何か、引っかかってるような感じですね。」
土佐舞「カギは? 反対側の扉は?」
伊井島「カギは無いって。反対側の扉は、ずれてて開かないそうだ。」
玉川「仕方がない。3人で力を合わせて…(ずれた扉の取っ手に手を掛ける)」
成田「(取っ手に手を掛ける)」
長沢「(取っ手に指を掛ける)」
伊井島「狭くないッスか?」
長沢「大丈夫だ(苦しげに)。ホラ行くぞ! 一斉の、せ!!(3人、思いっきり引く) もういっちょ!(思いっきり引く)」
玉川「イッセーノ、セ!(思いっきり引く)」
3人「ウワッ!(扉開く。同時に3人が倒れる)」
土佐舞「(中を覗き込む)あ、真横につっかえ棒がある。これで開かなかったんだ。(中に入る)あれ…? ねぇ、誰か寝てるよ…?(伊井島を見る)」
伊井島「え? そんなバカな…。(恐る恐る中に入る) だ、誰かいる…?(近付く)」
成田「どうした? 誰だ、中で寝てるような大ばか者は?」
伊井島「に…新垣(にいがき)先生…(あとずさる)」
成田「新垣先生?」
伊井島「そ、それも…し、しし…死んでる!!(腰を抜かす)」
全「な、なに!?」――

真解〔…なんと言うか…ありがちなパターンだな…〕
 真解は、ここだけ読むと、台本を閉じた。
真実「あ、まだ読んでたのに!」
 いつの間にかに背後にいた真実が言った。
真解「読んでたのかよ」
真実「いいじゃん。お兄ちゃんに渡したんだから、わたしだって読む権利はあるハズよ!」
真解〔どういう理論だ?〕
 真解には難解らしい。
???「あ、もめん! こんな所にいたの!?」
真解〔お、誰だ?〕
 5人は慌てて声のした方…教室の入り口を見た。30歳ぐらいの女性が立っている。
育覧「イイジマさん…」
イイジマ「全く、捜したわよ?」
育覧「ご、ごめんなさい…」
 育覧はしょんぼりと縮まり、イイジマと呼ばれた女はズカズカと教室に入ってきた。
イイジマ「あなた達は…あ、まさか、真解くんたち?」
真解「あ、し、知ってるんですか…?」
イイジマ「もちろん。あなた達の事は、何度ももめんから聞かされたわ。えっと、噂の真解くんはどれかしら?」
 イイジマは腰に両手を付いて、4人を見渡した。結構、背の高い女性で、全員やや見下ろされる形になる。
真解「ぼ、ボクですけど…。あなたは?」
イイジマ「わたし? わたしはもめんのマネージャー、飯島 れい子(いいじま れいこ)。よろしく」
真解「はぁ…よろしくお願いします」
 真解はお辞儀をした。
飯島「さ、じゃぁもめん。そろそろ撮影始めるから、着いて来なさい」
育覧「はい…。それじゃぁ真解お兄ちゃん達、撮影に見に来てください」
真解「ああ、いいよ」
 そう言って、一行はぞろぞろと校庭へ向かった。

Countinue

〜舞台裏〜
こんにちは。キグロです。今回のゲストは、久々に相上 育覧さん!
育覧「こんにちは」
今回はドラマの撮影と言うことで、育覧には遊学学園へ来てもらいました。
育覧「でも、なんでわざわざ?」
ん〜…まぁ、一番の目的はやっぱアレかな? 育覧と澪たちを会わせる…。
育覧「………それだけ?」
それだけ。

さて、今回はプロローグ。登場したのはマネージャーさんだけ、か…。
育覧「今度は犯人じゃないですよね‥? マネージャーさん…」
………さぁ? どうだろうねぇ・・・?
育覧「その…不敵な笑みは…?」

では次回。

「摩探公式HP」⇒【http://page.freett.com/kiguro/makahusigi/index.html

作;黄黒真直

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