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1;問題提起 「天気予報、また外れたね」 と誰かが言った。いや、世間一般によく言われている。 みな、「天気予報は当てにならない」と思っている。 だがしかし、それは本当だろうか? 本当に天気予報は当たらないのか? 逆に、当たるとしたらその確率は? 「天気予報は当たらない」この俗説の真偽を実際に調べてみよう! 2;調査方法 では、調査方法を考えよう。もちろん、実際に天気予報と実際の天気を比べるしかない。 今回は、NHK総合の午後7時から放送中の『ニュース7』内の天気予報をモデルにする事にした。 この天気予報による次の日の天気を記録し、実際に次の日の天気も記録。 その2つを比べ、どの程度当たっていたか、を調べるのである。 具体的には、「3時間毎の移り変わり」と「週間予報(の次の日の分)」を記録しておき、実際の天気と「週間予報(の次の日の分)」を比べる。 マークが曖昧(雲と傘の絵、など)な時は「3時間毎の移り変わり」とも見比べる事にする。 なお、今回調べるのは私の住んでいる神奈川県北部(天気予報では東京)のみ。 ちなみに、天気予報で言う「晴れ」とは雲が全天の2〜8割の時、「曇り」とは8〜10割の時、2割未満の時は「快晴」と言うが、ただ空を見上げただけではその判定が微妙な日が多い。 そのような日は、とりあえず「当たっている」と言う事にして計上する事にした。 その根拠は、我々が「天気予報がはずれた!」と思うのは、天気予報で晴れと言ったのに雨が降ったり、雨と言ったのに晴れた時のように、極端な場合の時だけだからだ。 観察していてもわからないほど微妙な天気ならば、誰も「外れた」と思わないだろう。 もうひとつ、天気予報には「降水確率」が出てくる。ところが、『ニュース7』では降水確率まで放送しない。 初めは「降水確率はいらないか」と思って統計を取っていたが、途中から欲しくなったので、 同じくNHKの朝にやっている『おはよう日本』と言う番組で降水確率を確認する事にした。 問題は、どのぐらいの期間集計すればよいのか、である。 あまり短いと正確な値が出ない上に、おそらく季節による差もあるのだろう。 かといってあまり長くても(長いに越したことは無いが)、私がダウンする。 色々考えた結果、1年間観測しようと言うことになった。 と言うわけで、2007年4月2日の天気予報から約1年間、実際に調査を行った。 3;調査 とは言ったものの、この調査はかなり面倒くさい。やって1週間もしないうちに、ダウンしかけた。 天気予報を確認し、実際の天気を記録し、その2つをエクセルに記録していく。 天気予報が当たったら「1」を、外れたら「0」を記録していき、最後に全て合計すれば、1年間で天気予報が当たった日数が出てくる。 また、良くわからないのがお天気マークだ。 (太陽のマーク)→(曇のマーク) となっている物は、「晴 のち 曇 だな」とわかるのだが、 (太陽のマーク)(曇のマーク) と仲良く並んでいるものは、「晴 時々 曇」なのかなんなのかわからない。 また、(太陽のマーク)が小さく(曇のマーク)が大きい物や、(太陽のマーク)が(曇のマーク)の後ろに隠れているものなども、よくわからない。 さらに、よくよく見ていると、このお天気マークと「三時間毎の天気」が食い違っている事がある。 三時間毎の天気は昼間ずっと晴れなのに、お天気マークは曇になっている、と言った具合だ。 (例えば2007年5月22日は、昼間は曇と言っているのに、お天気マークは晴になっている) 天気予報のギャグとして、「晴 のち 曇 ところにより雨」と言うのがある。 いわゆる「絶対当たる天気予報」と言うやつだ。 ところが、こいつが実際の天気予報で言われている事がまれにある。 もちろんこんなストレートには言わないが、 「東京、午後は曇マークになっていますが、ところによっては雨雲となるかもしれません」 と言った具合だ。 いくつも不満が露呈したが、とりあえず気にせずにスルーしよう。 さて、そんなわけで366日間の調査が完了した。 実際には、途中で60日間ほど天気予報を録画し逃したり、天気を記録し忘れたりすることがあり(特に、長期休みにこの傾向が顕著だ)、 2008年4月1日に終える予定だった調査は、2008年6月11日に終結した。 さぁ! いよいよ集計である。 4;結果及び考察 さて、今回はわざわざ1年間分のデータを取ったので、これを使ってもう少し検討してみよう。 ひとまず、今回の調査結果はコチラである。 エクセルファイルで入っており、Sheet1[表1]が天気予報、Sheet2[表2]が降水確率の調査結果となっているので、どうぞ。 以下は、このファイルを見ながら述べる。 4.1;天気予報が当たる確率 ではいよいよお待ちかね。このレポートの動機である「天気予報の当たる確率」の発表である。 これは、天気予報が当たった日数を366で割り、100倍すればよい。 その結果…! 実験日数 366日 天気予報が当たった日数 175日 天気予報が当たる確率 47.9% ……び、微妙である…。 高い、といえば高いだろう。 何しろ半分の確率で、明日の天気を言い当てるのだから。少なくとも私にはできない。 だが低い、といえば低いだろう。 「丁半」と言う賭博がある。サイコロ2個振って、合計が奇数になるか偶数になるか当てる賭博だが、 50%が高いというなら、丁半で大儲けする人が続出するはずである(この賭博で勝つ確率は50%である)。 ただ、1つだけ書くとするならば、「場所」である。 今回調査するに当たり、私は天気予報の「東京」を見ていた。 ところが、実際に私が住んでいるのは神奈川県北部。東京23区ではない。 通学先も神奈川県東部。東京ではない。 また、四六時中空を眺めているわけではなく、暇な時間に空を見ていただけである。 本気で調査をするなら、1時間毎…せめて3時間毎には天気をチェックするべきだ。 そのような条件下での47.9%である。高いのではないだろうか。 …もっとも、3時間毎に調査した結果、ここから上がるか下がるかはわからないが。 4.2;降水確率 さて、次は「降水確率」を見よう。1年間集計した降水確率は、以下の[表3]のようになった。 [表3]予報降水確率と、実際の降水確率
1段目が天気予報での降水確率、2段目がその予報が出された回数、 3段目がそのうち雨が降った回数、4段目が実際の降水確率である。 (予報が出された日数の合計が366日を上回っているが、 これは降水確率が午前/午後でバラバラに発表されているためである) 注目すべきは、降水確率が0%と100%と予報された日である。 驚くべき事に、0%と100%は百発百中である!(100%は3発しか撃っていないが…) つまり、天気予報で「降水確率0%」と言ったときは、絶対に雨が降らない。 これは画期的なことだ。「天気予報は当たらない」など嘘っぱちである! 他に目に付くのは、予報が40%以下のときと、予報が50%以上のときの違いである。 予報が40%以下のときの実際の降水確率は予報よりも低く、予報が50%以上の時の降水確率は予報よりも高い。 特に、60〜80%の時は、どれも降水確率が80%を超えている。 40〜60%ぐらいの降水確率だと「雨を持って行くかどうか」で悩むといわれるが、60%のときは持って行った方がよさそうだ。 困るのが40%である。実際の降水確率は33%。 3回に1回は降るので、40%の予報が出るたびに 「持つ、持たない、持たない、持つ、持たない、持たない」 を繰り返すのが良いだろう。 4.3;季節ごとの変化 今回の調査では1年間天気予報を記録し続けたわけだが、それは「季節ごとに違いがあるかもしれない」と言う考えに基づいている。 これは、実際のところどうなのだろうか。調べてみた。 [表1]の右下の方にあるのがそれであるが、棒グラフにしてみた。 [図1]各月で天気予報の当たる確率 さて、これをみると7月、8月、10月、1月の低さが目立つ。 1月はたった10日しか調べていないので信憑性にかけるが(旅行に行っていた…わけではない。単に忘れていた)、 7月、8月、10月は信頼してよいだろう。 このグラフを見て単純に考えるならば、 7〜10月、つまり夏の間は天気予報が当てにならない、といえそうである。 この時期は天気が安定していないのかもしれない。 一方、2月から5月にかけての春先は、比較的当たりやすい傾向にあるようだ。 ところで、グラフをじっくり見た方は気がついたであろう。 6月である。 4〜6月は2回調べている。そのうち、6月に注目しよう。 2007年6月の確率は40%。一方2008年6月の確率は64%。 実に20%以上も食い違っている! この違いはどこから生まれたのだろう。 観測日数の違いだろうか。2007年6月はきっちり30日調べているが、2008年6月は11日しか調べていない。 しかし、2007年6月1日から11日までの当たる確率も、やはり27%と低い。13日まで調べても30%である。 なお、一番差の大きい6月についてのみ言及したが、4月と5月も差が大きい。 4月は2007年が46%、2008年が58%。 5月は2007年が63%、2008年が53%。 いずれも10%の開きがある。 これが何を意味するのか、残念ながら私の力ではわからない。ただの誤差かもしれない。 ただ、細かい事を気にせずにボーッとグラフを眺めるならば、このグラフは以下のような曲線を描いていると推測できる。 [図2]黒い曲線が、天気予報の当たる確率? 上図の黒い曲線が、一年間のおおよその天気予報の当たる確率の変動ではないだろうか。 (全体的に、曲線が棒グラフの上側に来ているのに意味は無い。たまたまこうなってしまっただけだ) これをみると、夏場や秋の過ごしやすい時期、すなわちレジャーなどを楽しむ季節に限って、天気予報が外れやすいことがわかる。 とすると、「天気予報では晴れと言っていたのに、雨で遠足が中止に…」などの現象が起こりやすく、 ここから「天気予報は当たらない」と言われるようになったのではないだろうか。 2月から4月頃の晩冬〜春先にかけては60%近い確率をはじき出しているにも関わらず、 この時期はレジャーが少なく(お花見ぐらいか?)、よって天気予報をチェックする人も少ないため、当たっている事に気付かれにくいのだろう。 ただ、今回の実験では“たった1年間”しか観測しなかった。 たった1年のデータで、季節ごとの当たる確率の変化を求めるのは、実際には不可能である。 1人の人間だけ見て、「人類は全員男だ!」と結論付けるようなものだ。 季節ごとの変化を知りたければ、それこそ何十年間も調べ続ける必要があるが、 さすがにそんな根気はないので(科学者には気力と体力が必要だ)、今回の実験はここで終了である。 5;結論 というわけで結論。 天気予報が当たる確率は、47.9%。 ただし、季節による差はあるようで、冬場は60%を越えることもある。 6;感想 『マンガでわかる不思議の科学 そーなんだ!』と言う子ども向けの科学雑誌がある。 この雑誌の30号に、次のような文章が載っている。 ----ここから---- 人間が現在の科学力で完全な天気予報をすることはできない。なにしろ、大気の状態や海流は不規則なため、一般的な天気予報は30〜50パーセントの確率ではずれてしまうのだ。 ----ここまで----- そして結果、確かに天気予報は30〜50%の確率で外れていた。 だが注目してほしいのは、その直前の文章である。 「なにしろ、大気の状態や海流は不規則」 そのような不規則な現象を相手に、50%前後の確率で未来を予測してしまうなんて、すごいことではないだろうか。 細切れにした100枚の紙を東京タワーの天辺からばら撒いたとき、そのうち50枚の紙の落下地点を予測してしまうようなものだ。 少なくとも私はすごいと思うのだが、いかがか。 天気予報は、統計である。 現在の気圧配置などのデータと過去のデータを見比べ、 「このような状況のとき、過去ではこのように天気が移り変わっていったから、今回もそうなるだろう」 と推測して発表する。 過去のデータが増えれば増えるほど、つまり未来になればなるほど、天気予報と言うのは当たりやすくなるのである。 今年、2007年4月から2008年6月までの天気予報が当たる確率は47.9%だったが、 100年後には60%以上になっているかもしれない。 いや、きっとそうなっている。 確実な未来予測ができる日が来ると未来予測したところで、今回のレポートは終わりにしよう。 なお、公開した集計データを見て、何か面白い発見をした方は、メールフォームより一報ください。 このページに追記していくかもしれません。 戻る |