義務教育は義務じゃない!?
義務教育と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。多分、聞いたことのある人の方が多いと思います。
「義務教育」と言う名前なので、「学校には絶対に行かなくてはならない」と考えがちです。
しかし、実は、「学校に通わなければならない」などという法律は、存在しないのです(日本の場合は)。
実際にあるのは、「学校に通わなければならない」ではなく、「学校に通っても良い」と言う法律です。
ですので、学校をやめたい場合は、手続きを済ませるだけで、やめることができるのです。
この権利については、憲法第26条第1項にて、
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」
と書かれています。噛み砕けば、「教育を受けても良い」と言う意味です。
では、「義務教育」とは、一体なんなのでしょうか?
実はこの「義務教育」と言う言葉は、子どもにむけた言葉ではなく、親に向けた言葉なのです。
憲法第26条第2項(さっきの条文の次)には、
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とあります。
噛み砕けば、「保護者は、自分の子どもを小・中学校に通わせなさい。ただし、その費用は一部、国が負担します」と言う事です。
ただ、義務教育に入るのは、今の条文にもあった「普通教育」と呼ばれる教育のみ。
「普通教育」と言うのは、小学校、中学校、そして高等学校(高校)で行われる教育の事です。
それぞれ順番に、「初等普通教育」「中等普通教育」「高等普通教育及び専門教育」と呼ばれています。
こう言うと、「じゃぁ高校も『普通教育』だから、義務教育なんじゃ? それなら、授業料もタダなのでは?」と聞きたくなりますが、教育基本法第4条【義務教育】には、こうあるのです。
「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」
つまり、「子どもに9年間の普通教育を受けさせなさい」と言う意味です。
そして知っての通り、小学校、中学校の修業年数は、それぞれ6年と3年(学校教育法第19条と第37条)。
足すと9年なので、義務教育は中学3年生までと言えます(実際には義務教育の年数は学年ではなく子どもの年齢で決まっています〔学校教育法第22条〕)。
そのため、高校は義務教育に当たらず、授業料もタダにはならないのです。
ちなみに、学校教育法第26条第1項では、義務教育中でも、市町村の教育委員会が、問題のある生徒の保護者に、「あの子どもを登校させるな」と命令できる、と定められています。
その「問題」とは、第1項の第1号から第4号までに定められた次の4つ。
第1号「他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為」(つまり、いじめ・恐喝をする奴)
第2号「職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為」(つまり、先生をいじめる奴)
第3号「施設又は設備を損壊する行為」(つまり、何かを壊した奴)
第4号「授業その他の教育活動の実施を妨げる行為」(つまり、授業中うるさ過ぎて邪魔な奴)
これらの行為を何度も繰り返し行った場合、教育委員会は第2項に基づき、その生徒を止めさせる事が出来ます。
第2項では、「保護者に、自分の子どもの行動についてどう思うかを聞く事」と、「止めさせる事や、止めさせる理由、期間を保護者に伝える事」を、教育委員会の義務として挙げています。
なお、この「止めている間」も、教育委員会は、その生徒に対して、何らかの教育をしなければなりません(第4項)。
と、このように、「親の義務」よりも「教育委員会の権力」の方が、強くなっているのです。
まぁ、「周りの生徒に迷惑をかけさせない」というのが、一番の理由なのですが。
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