長さ30万キロメートルの棒を動かすと、不思議な事が起こる
この世で最も速いのは、光です。光の速さは、およそ秒速30万キロメートル。1秒で地球を7周半も回る計算になります。
そして、「どんな物でも、光の速さを超える事はできない」と言う法則もあります。
特殊な条件が揃うと別ですが、真空中では、どんな物体も、光を追い抜く事はできません。
また、特殊な条件が揃っても、「秒速30万キロメートル」の壁を破る事はできないのです。
では、例えばここに、長さ30万キロメートルの棒があったとします。
この棒の一端をAさんが、もう一方の端をBさんが持っているとします。
いま、Aさんが棒を動かすと同時に、Bさんに光を送りました。
では、Bさんが棒の動きを感じるのと、光を感じるのは、どちらが先でしょうか?
光は、秒速30万キロメートルで進みます。つまり、30万キロメートル進むためには、1秒間、必要なわけです。
一方、棒は、片方を動かせば、同時にもう片方も動きます。
ですので当然、Bさんが先に感じるのは、棒の方……と思いきや、実は光なのです。
そもそも、棒の一端を動かすと、何故もう一方の端も、動くのでしょうか?
例えば、ここに10円玉が10枚、1列に並べて置いてあるとします。
そして、その10円玉の列の端っこに、別の10円玉をぶつけました。
すると、ぶつけられた10円玉は、反対側に動き、すぐ隣の10円玉にぶつかります。
ぶつけられた隣の10円玉は、さらにその隣の10円玉に、その10円玉はまたさらにその隣の10円玉にぶつかります。
この動作が連鎖的に行われ、最終的に、反対側の1個の10円玉だけが、遠くに飛んでいきます。
実は、棒が動く理由も、これなのです。
この世の全ての物質は原子からできています。この原子は、非常に小さなツブツブなのです。
いまの例えで言う10円玉が、1個の原子にあたります。
棒の一端を前に押すと、押された原子は、1つ隣の原子を押します。
押された隣の原子は、またさらに隣の原子を押し、その原子は、そのまた隣の原子を押します。
これが連鎖的に繰り返され、反対側が動くのです。
これはもちろん、引っ張っても、横に動かしても同じ事です。
全ての物体は、光より速く動く事はできません。
この原子1個1個の動きも同じで、光より速く、隣の原子を押す事はできないのです。
そのため、仮に30万キロメートルの棒を作り、その一端を動かしても、
もう一方の端が動くのは、光が届いた後…1秒以上経った後なのです。
ですので、実を言うと、どんなに短い棒も、一端を動かしてからもう一端が動くまでには、微妙な間があるのです。
ただ、身の回りに存在する棒は、あまりにも短すぎるため、人間の目では確認できないだけ、なのです。
もちろん、この現象は棒に限らず、この世の全ての物体に当てはまります。
全ての物体は、光よりもゆっくりと動いているのです。
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