オゾンホールは、何故南極にしか現れないのか?
1930年ごろ、アメリカで「フロン」と言う物質が発明されました。
当時は、人体への害もなく、理想的な物質だとして、冷蔵庫やクーラー、ヘアスプレーなど、あらゆるところに使われました。
ところが、1986年に、フロンが地球を覆う「オゾン」を破壊している事が判明したのです。
フロンがオゾンを破壊する…と聞いて、真っ先に思いつくのは、「オゾンホール」と言う言葉でしょう。
写真などでよく見るように、南極上空にはオゾンが極端に少ない部分があり、ここが「オゾンホール」と呼ばれています。
しかし、何故オゾンホールは、南極上空にしか発現しないのでしょうか。
オゾンを破壊する原因はフロンなのですから、フロンを使う人間が多い場所に現れそうなものですが…?
実はこれには、「対流」と言う自然現象が関わってきます。
空気は、暖められると軽くなり、上昇します。すると、そこに冷たい空気が流れ込んできます。
これが対流という現象。
この現象は、小さな規模でもたくさん起こっていますが、実は、地球規模でも起こっているのです。
赤道付近で暖められた空気は、軽くなって上昇します。
上昇した空気は、北や南に流れ、北極・南極上空にやってきます。
すると今度は冷やされて下降。そして下降した空気は、今度は揃って赤道を目指すのです。
実は、この対流現象によって、世界中で放出されたフロンが、南極・北極の両極に送られるのです。
また、南極は冬になると、「極域成層圏雲(きょくいきせいそうけんうん)」と言う雲ができます。
フロンはこの雲の中に溜め込まれてしまい、次々とオゾンを破壊してしまいます。
さらに、南極には、「極渦」と呼ばれる特殊な風が吹いています。
この風は、南極大陸を取り囲むようにして、グルグルと渦のように回転し続けている風です。
先ほどの「極域成層圏雲」は、この極渦の内側にあり、また、周りの空気は極渦の内側にほとんど入れません。
そのため、外からのオゾンの供給が絶たれ、極渦内のオゾンがどんどん減少。
結果、「オゾンホール」が生まれてしまうのです。
なお、北極でオゾンホールが発生しない理由は、極渦の流れが乱されやすいためです(一応、北極にもオゾンホールは現れています)。
要するに、「対流によってフロンが南極に集められるため、南極でオゾンホールができる」と言うわけです。
ちなみに、オゾンホールは南極の春から夏(日本の8〜10月)ごろに、出現します。
その理由は、フロンがオゾンを破壊する方法にあります。
実は、フロンはオゾンを直接破壊するわけではないのです。
フロンは、炭素原子1個、フッ素原子1個、塩素原子3個がくっ付いた物質ですが、紫外線を浴びると、この塩素原子を放出します。
すると塩素がオゾンと化学反応を起こし、酸素と一酸化塩素になる(オゾンを破壊する)のです。
ところで、南極は、冬になると太陽が全く昇らなくなります。
フロンが塩素を放出するためには、紫外線が必要ですので、この時期は塩素を放出する事ができません。
そのため、冬の間はオゾンホールは現れず、太陽が当たる春から夏の間だけ、オゾンホールが活発に現れるのです。
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