地動説は間違っていた?
「天動説と地動説」の話は有名です。
その昔、人々は「地球は宇宙の中心で、太陽が地球の周りを回っている」と考えていました。これを「天動説」と言います。
対して、「地球が太陽の周りを回っている」と言うのが「地動説」。言うまでもなく、本当は地動説です。
地動説を最初に唱えた、とされているのはアリスタルコスと言う紀元前300年頃の天文学者。
地動説を唱えた有名どころは、ニコラス・コペルニクス、ヨハネス・ケプラー、ガリレオ・ガリレイの3人でしょう。
特にガリレイは地動説を唱えた事で「聖書に反する」と教会から弾圧された事で有名で、「それでも地球は回っている」と言うセリフも有名です。
コペルニクスやケプラーも、程度は違いますが批判や無視を受けた人々です(コペルニクスは死の直前に地動説を発表したので、彼自身は特に批判を受けていませんが)。
この天動説と地動説の話は、しばしば「正しい者が不当に批判を受ける」と言う事の喩えに使われますが…。
現代科学からすると、この3名の説は実は間違っているのです。
そもそも彼らが非難されたのは、宗教的な理由ももちろんありますが、科学的なちゃんとした理由もありました。
まずコペルニクスですが、彼が著した地動説のモデルの概略は、
「太陽を中心に、全ての惑星が完全な円運動を行っている」
というもの。
ところが現代の天文学によれば、惑星は完全な円運動は行っておらず、わずかにつぶれた楕円形をしています。
そのため、コペルニクスの計算と実際の観測結果は一致せず、観測と一致しない理論は間違っている、というわけでコペルニクスの地動説は受け入れられなかったのです。
それから数十年後。ケプラーが師匠ティコ・ブラーエの残した観測記録を元に惑星の軌道を正確に計算し、惑星が楕円軌道を描いている事を突き止めました。
そのおかげで、地動説と観測結果が一致しました。
さらにガリレオが、天動説では起こりえない金星の満ち欠けや、木星の衛星を発見し、地動説を支持・主張しました。
ところが、彼ら2人に解けない謎が登場したのです。
天動説は「地球が宇宙の中心だ」とする面もあります。このように考えたのにはわけがあります。
地球が丸い事は紀元前からわかっていました。地球が丸い、と言う事がわかると次に浮かんでくる疑問は、
「では何故地球の反対側にいる人は、宇宙の彼方に落ちていかないのか?」
ということです。
これを解決する理論として登場したのが、「全ての物質は宇宙の中心に向かう性質がある」というもの。
すなわち、地球は宇宙の中心であり、故に地球の反対側の人も宇宙の彼方に落ちていかないのだ、と言う考えです。
もしガリレオとケプラーが言うように地球が宇宙の中心ではないのだとしたら、「では何故地球の反対側にいる人は、宇宙の彼方に落ちていかないのか?」と言う疑問が生じます。
実はガリレオとケプラーは、この疑問に答えられなかったのです。
その謎を解いたのが、有名なアイザック・ニュートン。
彼は、これまた有名な「リンゴが落ちるのを目撃する」という体験から万有引力の法則を発見。
「全ての物質は宇宙の中心に向かう性質がある」と言う理論を打ち砕き、「万有引力によって、地球の反対側にいる人は落ちていかないのだ!」と説明しました。
これにより地動説に疑問はなくなり、徐々に広く受け入れられるようになっていったのです。
参考文献;ビックバン宇宙論 上  サイモン・シン/著
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