「津波」と「波」は、1字違いで大違い
海には、「波」があります。同時に、「津波」もあります。
この2つ。普通に見ると、規模の違いだけのような気もしますが、実は、根本的に全く違う物なのです。
まず、海の波から見てみましょう。
いわゆる「波」とは、ほとんどが風の力によって作られます。
風が海面に当たると、それによって海面が揺れます。
これが大きくなった物が、「波」です(このような波を、「風浪(ふうろう)」と言います)。
この風浪は、とても複雑な形をしています。
まず、山の先端がとんがっており、山と山の距離(波長)が、とても短くなっています。
そして風浪は、風が強いか、吹く時間が長いか、あるいは吹く距離が長いと、大きな波に変化します。
この風浪が、風浪を起こした風の無いところまで届いた物を、「うねり」と言います。
このうねりが伝わるのは時速50km以上ととても速く、台風によって生じた風浪が、うねりとなって、台風より先に岸に到着するのは、このためです。
そしてうねりは、遠くまで伝わるうちに、徐々に力を失い、山は低くなり、最終的に消えてなくなります。
このように、波は常にどこかで発生し、消滅しています。
ところで、海の波を見ていると、海の水そのものが移動しているように見えます。
しかし、実は波が起こっても、海水はほとんど移動していないのです。
例えば、サッカーや野球などの会場席。
そこにいる観客たちが、たまに「ウェーブ」と言うものをやります。
端から順番に、列ごとに両手を挙げ、まるで「海の波」のように見せかけるのです。
実は、本物の海の波も、これと全く同じ原理で動いているのです。
つまり、水はその場で上下しているだけ。
移動していると言えば、押しのけられた水が微妙に横移動するだけで、基本的に上下移動しかしていないのです。
また、どんなに激しい波でも、水深1m程度までもぐると、もう水はほとんど揺れていない、と言われています。
しかし、「津波」は違います。
津波は、主に地震や海底噴火などによって生じる、非常に波長の長い波です。
地震を例に取りますと、地震は、まず地面が上下します。
すると当然、海の水も、一緒に上下します。
これだけならなんともないのですが、世の中は一筋縄では行きません。
板の上に物を置き、その板を落とすと、上に載っていた物は、一瞬だけその場に留まります(肉眼ではわからないかも知れませんが)。
海水でも、これと同じ事が起こります。
つまり、地面が下に下がっても、一瞬だけ、海水は宙に留まるのです。
そして、海水は地面につられて落ちようとするのですが…そこへ、今度は地面が上がってきます。
これにより、海水は一気に押しのけられ…津波が発生します。
その後津波は、四方八方へと広がり、陸地へと進みます。
陸地へ進むと、海底が浅い事を良いことに、一気に高さ(波高)を増します。
そしてそのまま陸地へと流れ込み、全てを飲み込むのです。
その直後、津波は海へと戻っていきます。この時、陸地のあらゆるものを巻き込んで、海へと連れ去っていくのです。
ところで、「波」は、水が上下しているだけでした。
しかし、津波は違います。津波は、水そのものが、移動しているのです。
津波が甚大な被害をもたらす理由も、ここにあります。
水と言うのは、見た目によらず、ものすごい重さを持っています。
例えば、縦横高さ全て1メートルの箱に水を満杯まで注げば、その重さはなんと1トンにも上ります。
津波は、ものすごい量の水が押し寄せてきます。
つまり、1トンや2トンなんてものではなく、何十トンと言う重さを持って、押し寄せてくるのです。
そのため、ひとたび津波が来れば、我々人間にはどうしようもない被害が起こってしまうのです。
最後にまとめますと、つまり、「波」と「津波」の最大の違いは、水の動き方。
「波」は上下で、「津波」は横。早い話が、こう言うことです。
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