テレビの仕組み2〜液晶テレビ〜
テレビシリーズ第2回。今回は、液晶テレビの仕組みです。
まずそもそも、「液晶」とはなんでしょうか。
「液晶」とは、英語では「Liquid Crystal」と言い、直訳すると「液体結晶」。
「液体でもあり、固体でもある物質」なのです。
別な言い方をすれば、「液体の性質と、固体の性質を併せ持つ物質」なのです。
「液体の性質」とは、ズバリ、形を自由に変えられる事(この性質を、「流動性」と言います)。
そして、「固体の性質」とは、ズバリ、見る方向によって見え方が変わる事(この性質を、「異方性」と言います)。
水は、どんないびつな形をした器にも入るので、流動性があり、氷は、見る方向によって形が変わるので、異方性があります。
では、液晶は何故、流動性と異方性の2つの性質を持つのでしょうか。
それは、液晶の分子構造を見ればわかります(分子とは、物体を構成するものすごく小さい粒の事)。
液晶の分子は、細長い楕円のような形をしていて、これがずらりと並んでいます。
固体の場合、この分子が、向き、位置、の両方が、ぴっちりと規則正しく並んでいます。
液体の場合は、この分子の向きも位置も、全くバラバラで、無秩序です。
これが液晶になると、向きは全部同じなのですが、分子の位置が全くバラバラ。
つまり、全部が同じ方向を向いたまま、好き勝手な場所にいて、移動しているのです
(このような液晶を、ネマティック液晶と言い、たいていの液晶ディスプレイに使用されているのは、このタイプです)。
このように、分子の位置がバラバラなところから、流動性が生まれ、同じ方向を向いているところから、異方性が生まれるのです。
ところで、この液晶に光を当てると、光はどのような動きをするでしょうか?
光には、「屈折」と言う性質があり、これは、「物体Aの中を飛んでいる光が、物体Bに入ると、進む方向が変わる」と言う性質です。
この時の、「進む方向は、どのぐらい変わるか?」と言うのを数字で表した物を、「屈折率」と呼びます。
液体や気体の場合、どんな角度で光が入ってきても、屈折率は変わりませんが、固体や液晶は、光が入ってくる角度によって、屈折率が変わります。
実は、このような性質の事も異方性と呼び、液晶ディスプレイは、まさにこの性質を利用しているのです。
液晶に電気を流すと、その向きが変わります。向きが変わると、そこに当たる光の屈折率も変わります。
これにより、液晶を通過する(透過する)光の状態を変化させる事が出来るのです。
また、光を屈折させるだけでなく、ある程度遮断させる事も可能です(完全に遮断する事は出来ない)。
こうする事で、液晶を透過する光の量を、増減させるのです(この仕組みを、光スイッチと呼びます)。
この時の光は、液晶パネルの場合、バックライトやフロントライト、または外光などです。
液晶テレビのディスプレイは、2枚のガラス基板と、それにはさまれた液晶によって構成されています。
この厚さはおよそ0.004mm。髪の毛の直径が0.02〜0.03mmなので、髪の毛のおよそ5分の1の厚さになります。
これだけだとカラーにはなりませんが、赤、青、緑のカラーフィルターを使う事で、カラーにする事ができます。
赤、青、緑は「光の三原色」と呼ばれ、この3色で、黒以外の全ての色を表現する事が出来ます(光を完全に遮断すれば、黒になります)。
液晶だけでは完全に光を遮断する事は出来ないので、「偏光フィルタ」と言うフィルタを液晶の前後に配置し、それによって光を遮っています。
偏光フィルタとは、絵が飛び出して見える立体映画(3D映画)などを見る時につける、黒いメガネがありますが、あの黒いセロハンが、偏光フィルタです。
偏光フィルタを2枚重ねて片方を回転させると、ある点で、向こう側が見えなくなります。この時、光が遮断されているのです。
液晶ディスプレイの利点は、ガラス基板と液晶だけあれば作れるので、超薄型化、超軽量化が可能で、
また、画素(画面を構成する最小単位)が液晶分子とカラーフィルターなので、高精細化も可能となっています。
他の利点は、液晶の持つ流動性により、消費電力が少なくて済む事です。
何故かと言うと、「液晶に電気を流し、向きを変える」と書きましたが、液晶には流動性があるため、わずかな電力で、簡単に向きが変わるからです。
ただ、利点が多い液晶ですが、技術的な課題(欠点)も多く、まだまだ多くの技術開発が必要とされています。
ちなみに、携帯電話やパソコンの液晶には、石油から合成された人工の液晶が使用されていますが、
液晶は自然界にも存在し、イカスミや石鹸水は、自然に存在する液晶のひとつ。
そもそも、液晶の最初の発見は、コレステロールの中。オーストリアの植物学者、ライニッツァが、1888年に発見しました。
液晶は固体と液体の性質を持った不思議な物質なので、これからあらゆる場所に応用されていく事が期待されています。
戻る