イグノーベル賞!
「ノーベル賞」とは、「アルフレッド・ノーベル(ダイナマイトの発明者)の遺言に従って1901年に始まった世界的な賞であり、世界的な権威を持つ賞」です。
しかし、ここで取り上げるのは「イグノーベル賞」。
実は、世の中には、こんな賞もあるのです。
「イグノーベル賞」とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に対して与えられる賞」で、ノーベル賞のパロディ的存在。
創設されたのは、1991年です。
この名前は、「反」などの意味を持つ接頭語「イグ【ig】」を、「ノーベル賞」につけた造語であり、
同時に、「卑劣な」「あさましい」などの意味がある【ignoble】とかけたものです。
そしてこの賞には、工学賞、物理学賞、医学賞、心理学賞、化学賞、文学賞、経済学賞、学際研究賞、平和賞、生物学賞の10部門があります。
「ノーベル賞」ならば、世界に貢献するような研究に対して与えられますが、イグノーベル賞はそうとは限りません。
風変わりな研究や社会的事件などに対して与えられるのです。
それも、時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて授与されます。
皮肉めいた受賞には、例えば、1996年の平和賞があります。
この時受賞したのは、フランスの大統領、ジャック・ルネ・シラク。
彼は何をやったかと言うと、実は、広島原爆投下50年を記念して、南太平洋のムルロア環礁で核実験を行ったのです。
この行為は、世界中から非難を浴びましたが、あろうことか、イグノーベル賞の「平和賞」を受賞したのです。
また、一時流行った「ミステリーサークル」。
これは、イギリスのデイヴィッド・コーリーとダグ・バウワーが、「自分たちがやった」と告白し、「サークル作成」を実演しました。
これにより、「ほとんどのミステリーサークルは、人間の手で作れる」と言う事がわかりました。
その事を受け、1992年、このデイヴィッドとダグの2人に、
「イギリス作物の幾何学的破壊に基づく、場の理論への環状の貢献に対して」、イグノーベル物理学賞が授与されたのです。
イグノーベル賞は、本家ノーベル賞に比べると無名ですが、なんと、日本は実は「イグノーベル大国」なのです。
日本人のノーベル賞の受賞回数は、2005年現在で12回。一方、イグノーベル賞は10回。
わずかに負けていますが、それでもたった2回差です。
日本人のイグノーベル賞授与暦は、1992年から始まります。
92年、最初に授与されたのは、資生堂の研究員、神田不二宏たち(E・ヤギ、M・フクダ、K・ナカジマ、T・オオタ、O・ナカタ)です。
彼らは、「足の匂いの原因となる化学物質の特定」と言う研究に対して、医学賞を受賞しました。
94年は、「地震はナマズが尾を振ることで起こるという説の検証」と言う7年間にわたる研究に対して、気象庁に授与されています
(ただ、表向きは気象庁ですが、実際はどうだったのか、わかりません)。
95年は、慶応義塾大学教授の渡辺茂たち(ジュンコ・サカモト、マスミ・ワキタ)の行った、
「ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させる」と言う実験が成功した事に対して、心理学賞が授与。
96年は、岡村化石研究所の岡村長之助が、「岩手県の岩石から、ミニ恐竜、ミニ馬、ミニドラゴン、ミニ王女(?)など1000種類以上に及ぶ『ミニ種』の化石を発見した」事に対して、生物学的多様性賞が授与されています。
なお、この「ミニ種」は、いずれも絶滅しており、体長は0.3mm以下だったそうです。
97年は、2つ1度に受賞。
関西医科大学講師の柳生隆視と、スイス、大阪、チェコの共同研究者たちが行った、「人がガムを噛んでいる時に、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」と言う研究に対して、生物学賞が、
そしてウィズ株式会社の横井昭宏と、バンダイ株式会社の真板亜紀が開発した、「たまごっち」に対して、経済学賞が授与されました。
「たまごっち」は、「数百万人分の労働時間を、仮想ペットの飼育に費やさせた事」に対しての授与です。
99年には、セーフティ探偵社の牧野武が、「夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できる『Sチェック』と言うスプレーを開発した功績」に対し、化学賞が授与。
2002年は、タカラ株式会社社長の佐藤慶太、日本音響研究所所長の鈴木松美、小暮動物病院常任理事の小暮規夫の3人が、
「犬語翻訳機『バウリンガル』の開発によって、ヒトとイヌに平和と調和をもたらした業績」に対して、平和賞が授与。
03年は、金沢大学の廣瀬幸雄教授が、兼六園内にある、日本武尊の銅像に、ハトが寄り付かないことをヒントにして、カラス除けの合金を開発した事を受け、
彼に「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」として、化学賞が授与。
そして、04年は、大阪府の会社経営者、井上大祐に、「カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供した業績」に対し、平和賞が授与されました。
捨てる神あれば拾う神あり。ノーベル賞を狙っているのになかなか受賞できない方は、こちらに挑戦してみるのも手かもしれません。
ちなみに、イグノーベル賞の公式HPはこちら[http://www.improb.com/ig/ig-top.html]
歴代受賞者はこちら[http://www.improb.com/ig/ig-pastwinners.html]
ただし、全て英文です。
戻る