テレビ中継のリポーター。何故みんな反応が遅いのか?
テレビのニュースなどで、海外の情報を伝える時、海外にいるリポーターからの中継が入ります。
この時、日本のスタジオにいるアナウンサーが質問してから、リポーターが答えるまで、不自然な間があります。
しかも1人や2人ではなく、ほぼ全員が…。何故でしょう?
実はこれには、ちょっとした科学的な理由があるのです。
「中継」と言うのは、現場から直接スタジオに映像が送られるのではなく、一度、どこかを経由して送られて来る事です。
この時、地上のテレビ局を経由してスタジオへ来れば、ほとんど間は空きませんが、経由するものによって、間が空くのです。
海外リポートの場合、たいてい、人工衛星が経由に使われます。
中継に使われる衛星は、地上約3万6000kmの上空に浮かんでいます(衛星の用途によって、高度は違う)。
地球の直径が約1万2000kmですので、その3倍にもあたります。
これだけ離れていると、地球が回転する速度(自転する速度)と、衛星が地球の周りを回る速度を同じにする事ができます。
すると、地球上から見た時、衛星が空の1点にずっと止まっているように見えるのです。
例えば、自分が乗っている車の隣を、同じ速度の車が走っている時、相手の車が止まって見えますが、それと同じ事です。
このような衛星を「静止衛星」と言い、気象衛星や通信衛星などは、ほとんどこの部類です。
海外リポートの映像と音声は、一度この静止衛星を経由して、日本へ送り届けられるのです。
逆に言えば、日本のアナウンサーの声も、静止衛星を経由して向こうへ届けられます。
ところで、音声や映像は、電波にのせて送られます。
電波の進む速度は、1秒間に約30万km。そして、静止衛星までの距離は、約3万6000km。
つまり単純に計算すると、電波は静止衛星に届くまでに、0.12秒ほどかかるのです。
そして、静止衛星から向こうのリポーターに電波が届くまで、また0.12秒。
つまり、向こうに届くまでに0.24秒かかる事になります。
また、向こうからこちらへ戻ってくるためには、もう0.24秒かかります。
したがって、合計で0.48秒、かかるわけです。
日本のスタジオのアナウンサーの声は、スタジオからすぐ、家庭のテレビへ送られます。この時間は、ほぼ0秒。
しかし、海外のリポーターの声は、スタジオに届くまで0.48秒かかるため、家庭のテレビへ送られるのも、0.48秒後。
この0.48秒が、あの「不自然な間」なのです。
また、普通は、相手がしゃべり終わってから自分がしゃべるまで、少し間を空けます。
この適度な間が、「不自然な間」の時間をさらに延ばしているのです。
その他の理由としては、向こうのリポーターの反射神経もあります。
また、視聴者側にある「アナウンサーがしゃべり終わってから、リポーターが話し出すまで、大体0.○秒ぐらいだろう」と言う心理も、「不自然な間」を延ばします。
リポーターが、自分の予測した間よりも、長い間を空けると、ホントは短いのに「長い」と感じてしまうのです。
例えるなら、「階段の最後の一段があると思って踏み出したら、無かった」と言うような心理状況に陥るわけです。
このような理由により、海外の中継リポーターはほぼ全員、「不自然な間」を空けてしゃべってしまうのです。
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